Wasedocu5レポート
2018年1月27日(土)@早稲田大学小野記念講堂
この日本の片隅で
TVドキュメンタリスト
七澤潔と大森淳郎のメッセージ
第5回目となるWasedocu(ワセドキュ)が2018年1月27日(土)に早稲田大学小野記念講堂で開催された。
1990年代から2000年代にかけて、NHKを舞台に同じ時代を生きた作家性の異なる2人のドキュメンタリスト七沢潔さん、大森淳郎さんをゲストに、彼らがそれぞれ制作してきた50本近い作品の中から、5本を選びトークと上映を行なった。11時から20時近くまで約9時間にわたって、市民や学生、ドキュメンタリー映画監督やプロデューサー、テレビ関係者などのべ300名が参加。主催は早稲田大学ジャーナリズム研究所とジャパンドックス。
30年以上にわたり、テレビ(NHK)を舞台にドキュメンタリーを制作してきた七沢さんと大森さんが2017年に定年を迎えた。二人の制作テーマは、沖縄、核、戦争と共通点を持ちながらも、七沢さんは、よりジャーナリスティックに構造に迫り、大森さんは、心情深い眼差しで撮らえてきた。
お互いに同じ時代、何に興味を持ち、どのような立脚点で制作をしてきたのか。それぞれの作品を並列して見ることで、ある共通点が浮かび上がる。
それは、メッセージ性の強さと「差別されている側からの視点」である。また、制作中「差別されている人がとても魅力的でもあった」とも二人は語った。
成長至上主義の社会で、多数派の価値観に押しやられた少数の人々、その小さき声に耳を傾けた制作者の視点が、スクリーンを通してはっきりと伝わった。
会場には、「ひとりと一匹たち-多摩川 河川敷の物語」に登場する写真家の小西修さんの姿も。
「お二人は互いをどのように思っているのか」との質問に、大森さんは「自分は内気だけれど、七沢さんは『俺が七沢だー!』って感じ。対照的」と答え、七沢さんは「二人は対照的、大森さんはヒンディー語学科卒で、欲望を滅却することを学んでいた。僕は気が短く、大森さんは長い。そんな大森くんに救われた」と語った。
トークで進行を務め、今春、NHKに就職する学生の大間千奈美さんは「大先輩を前に、はじめド緊張していましたが、トークではお二人の『友情』を垣間見ることができ、とても楽しい会でした。ドキュメンタリーを通じて伝えてもらったメッセージをこれから繋いで行きたい」と感想を述べた。
また参加者からは「NHKにおけるドキュメンタリー制作のよき系譜が、今後もNHKをはじめ各局の制作者へ引き継がれていくことを期待したい」との感想も。
参加くださったみなさまへ感謝申し上げます。